東京に住む叔父が大好きだった。
高校の頃に家出をした時に相談したのも叔父ならば、初めてバンドで東京ツアーに行った時に泊めてもらったのも叔父の家だった。
俳優を志していた叔父はとても印象的な声の持ち主で、いわゆる「渋い声」なのだ。TV制作の裏方仕事をずっと続けながら年に1度は右往左往している我が家を気にかけ渋い声で電話をくれたものだ。
姉も俺も彼が大好きだった。
自宅に戻った時に見慣れぬDMが1枚。
「俳優をしています。宅嶋渓」と書いてある。
???そんな名前の親戚いたっけ???
父に聞いてみれば叔父の事だという。
55歳以上の人間を対象に蜷川幸雄氏が始めた運動体があるらしい。
それがさいたまゴールドシアター、だ。
叔父の芝居が観れるなんて。
次回公演は観に行こうと思う。
蜷川幸雄にはまるで興味が無かったのに、なんだか気になっちゃう。
そんなものかもな。楽しみだ。