お借りしてる蒲団があるせいか、大津ではぐっすり眠れる。
怖いくらい寝る。
滋賀はまだ寒くてストーブを消したら部屋にあるものがヒンヤリとしてくる。
昔、「どこから来てどこへ行くのか」って歌詞を恥ずかし気もなく歌っていたけど、今ならわかる。「ふとんから来てふとんに帰る」のだ。
ふとんはいいぞ。
寝ぼけて不細工な面を受け止めてくれるし、ヨダレだってだらだら垂らし放題。
夢にでてきた女にチュウをしようとするマヌケ顔も無視してくれるし、
悲しくて悔しくて泣ける時は黙ってつつんでくれる。
ふとんはさらにいいぞ。
彼女ができたら、一緒にもぐりこんでアレやコレ。
ふとんの中がどこまでも続く、エロチックな闇のよう。
そして何もかもに疲れた時によりかかれる最後の場所なのだ。
みんなの寝てる顔を想像できるならば争いごとも減るのに。
大津の夜はいつもそんな余計なことを僕に教えてくれる。
また生きるのも悪くないって思えたり。
おおげさ、か。