長いこと煙草をやっているが、酒を呑む時以外は殆ど吸わなかった。
若い頃に勤めていたデザイン会社の躾けで、煙草休憩を取るのは非喫煙者に悪いという意識があり、仕事中は吸わなかったからだ。
それが二か月前に酒をやめたタイミングで電子煙草に変えたら一気に本数が増えた。
依存とまではいかないけれど、何か身体に悪いことをやっているほうが落ち着くのかもしれない。
元々、環境に合わせることは苦ではない。
問題は長続きしないことだった。
勤めが続かないのが最たる証拠で。
唯一長続きしていた音楽を一旦やめたからか、今回は静かな変化がある。いい加減、歳を取ったということだろう。
やめた、ということは次が始まったということで、また変化があるんだとは思っているが、ひたすら歩くことも節制も今は馴染んでいる。
電子煙草を美味いと思うようにはなったが、残念ながら魅力は無い。服や身体に臭いがまとわりつかないし、第一すぐに無くなってしまう。
今の俺にはそれぐらいがちょうどいい。
酒や煙草をゆっくりと味わう時間を仕事とちびちびとした勉強時間に置き換えた。
仕事はやっぱりおもしろいし、勉強も楽しい。
歌を書いたり楽器を演奏するのと大差は無い。
ただ電子煙草と同じぐらいの魅力しか生み出せないのかもしれないが。
そこに人間が、彼女が、彼がいないと爆発や衝動は続かない。ロックなんて誰にでも出来る。
欠けた自分に気づきさえすれば、誰にでも。
でもロックンロールをやるにはまだまだ足りない。欠けた自分を楽しみ操るチカラが俺には足りないんだろう。
もう一本、吸って映画でも観るか。