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兼業SSW、宅嶋淳の徒然です。

「失恋」

(下記の文章はチカラさんで稽古をつけてもらっている文章講座における習作です。) 

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 人を初めて好きになったのは小学校2年生の時。放課後にその子と遊ぶのが楽しみだった。その頃は性についてなんの知識も準備も無かったから、放課後に自宅に呼んで「毛布で彼女を丸め込む」という荒業に出たものだ。後日それを知った彼女の親御さんからやんわりとした注意の電話がかかってきた。「あの子はちょっとおかしいから……」と引き裂かれ、僕はひとり布団で泣いた。

 しかしこんなものは失恋ではない。中学の夏休み前になると手当たり次第に「告白」した。もうなんとなく性の正体を知っていたから行動は加速する。

「つきあって」

「イヤ」

 まるで、カードゲームのように繰り返した。

 ただ、これも失恋ではない。


 失恋とは思いを寄せる相手を失って初めて気づく「愛情の大きさ」の単位だ。恋をしている時は相手との距離を測っているけれど、恋が終わった後に丁度いいサイズを知るのだ。

 寂しくてたまらなくても丁度いいサイズを探して埋めたりはしない。

 埋めると恋愛じゃなくなるから、失恋さえもできない。



 一番最後に失恋したのはいつだったかなあ。