週末を利用した短いツアーが始まった。
9/10 津山 Cool Bop
9/11 高松 Ruff House
9/16 福岡 TUPELO
9/18 新山口 Bar Astar
9/30 東京 池ノ上 ボブテイル
こちらからお願いしてブッキングしてもらったもの、声をかけてもらったもの、色々な性格のライブがあるけれど、始まってすぐの津山で先ず共鳴した。何に共鳴したか、と言えば共演者の「日下輝之」さんの進化。
◼️「日下輝之」という音楽
日下さんは俺より少しだけ年下で、心は年上で、魂はずっと若い。
4年前に米子のOneMakeで知り合って、すっかりその歌声と詩の世界が好きなってしまった。
わざわざ福岡までライブに来ていただいたこともある。
最初は友部正人に近い印象を持った。(音楽のことね)
そしてたった一人で決して音楽が盛んではない場所で、あたりまえのように奮闘して毎月「日下輝之独唱会」という名のライブを運営している。
そこに共鳴する若いシンガーや仲間がいて、日下さんの音楽を横堀して行くのだ。
日下さんの音楽は「孤」。
独りから始まり、周りを巻き込んで弧を描く。そして熱い。
ああ、きっと今度も進化しているんだろうな、と思って津山にAjiとお邪魔した。
◼️「1×僕=?」
日下さんの曲で「カケルモノ」(日下輝之「いぶきB面」に収録)という好きな歌がある。
0をかけてもゼロにならない「僕」の在り方をはっきりと伝えてくれる。
今回の日下さんのステージではその曲を使ってコールアンドレスポンスをやっていた。
いちばんそういう盛り上げる「形」を嫌がっていたはずの彼が心からやっていた。
理由はシンプルで、それは「形」をなぞっているのではなく本気で伝えたいことがあるからだ。
日下さんは曲間のMCもしっかり聞ける。「間」を押さえているから観客が入り込む隙がある。
馴染めんで行く時間をくれるのだ。
そして歌は以前よりもよりラウドに強く響いてくる。
あえて想像してもらう為に例えれば(グルーヴァーズにボーカルを迎えるなら日下輝之しかいない)というくらい。
そして今回いちばん心に響いたのは、企画運営とオープニングアクトまでやってくれた花奈子(かなこ)さんの澄んだ目。
日下さんにボイトレをやってもらっているそうで、ド直球で歌ってくれた。
20代の女性の弾き語りは変な意味でセミプロっぽい人が多くて苦手なんだけど、先ず強く歌うことから学んでいる彼女は心から歌っていた。そんな彼女はきっと「日下輝之×彼女」なのかもしれない。
日下さんはそんなカケルヒトを見つける、育てる、手離す、競う。
1×僕は歌だ。きっと。
そんな歌が「初めてライブというものに参加した」客席にも溢れる。
毎回来てくれる人はそんなにいないかもしれない。
でも毎回初めての人を誘ってくれる、誘われた人も飛び込んでくれる熱がある。
環境は作り育てるもので貪るものじゃない。
「カケルモノ」が日下さんの住む町に浸透して行く。
岡山県津山市が素敵なんじゃなくて、日下さんや環境を作る人がいる場所が素晴らしい。
少なくとも俺にはロックの最先端を行ってるまちだと思えたのでした。