これが歌だったら、と考えると恥ずかしい。
恥ずかしいのはその人の事を考えるのが恥ずかしいからなのか。
近しい友人ではないけれど、時々歌を聴いてくれて自分の言葉で感想を言ってくれる友人が居る。そんな奇特な彼に彼女が出来たらしい。
それは隅にも置けない様らしい。
きっと彼女の事を話そうとすると、ふと口元がニューンと伸びるはずだ。
僕はというと目を瞑る癖がある。
ちょっとしかめっ面になるのだ。
「イタリアの月」じゃないけど、距離こそが歌だ。
僕はシワっとした顔になりながら自分の芯から好きな人までの距離を考える。
遠くても近くても、その人としか持てない距離がある。
老若男女との距離がある。
時間や気持ちとの三角形がゆるめあう事で円になる。
だけど丸くなっちゃつまらない。
彼女の話をするであろう君は口が尖らせて不満やノロケを聞かせてくれるに違いない。
求めるから角が立つ。
それがいい。