takulog

兼業SSW、宅嶋淳の徒然です。

「Love Letter」

チカラさんの文章講座向けで書いたものです。
出来の善し悪しは分かりませんが、書きたかったテーマでした。

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 君達が大きくなる前に話しておきたい事がありました。俺は話す機会をずっと逃してきたせいか、こうやって手紙を書いておいて、いつか渡そうと思っています。
 話しておきたい事というのは他でもありません。なぜ、君達が生まれてきたか、という事です。もう大人みたいなものだから、俺と君達の母親が惚れ合って(と、思います)セックスをしたから産まれたという事は分かるでしょう。

 しかし、それだけでヒトは産まれたのではありません。アクビやオナラみたいに機能の1つとして生まれるものでもありません。そこには母親や君達自身の「意志」がありました。君達の意志は小さくて母親がかろうじて感じることができるくらいのものでした。医者だって見逃してしまうくらい小さなものです。そしてこの世に産まれてからは、俺にも感じることができるようになりました。俺も母親である彼女もその「意志」を大きく強いものにしようと、下手くそな人生をやり繰りしながら生きてきました。

 今、君達の意志はどうなっているでしょうか。友達や先生や上司に磨かれて強くなっているでしょうか。それとも社会の中でフラフラと揺れているでしょうか。反対に自分で無理矢理大きくして、他人に押し付けたりしているでしょうか。
 残念だけれど、俺には君達の人生を大きく揺さぶるチカラがありません。ただ飢える事無く、可能な限り健康であるように守る事が精一杯です。君達は自らの手で自分の「意志」を育て、友達と共有していく事でしょう。

 俺が伝えたい事は正にその事です。君達が育てる「意志」は他人と影響し合うものです。それが未来です。俺も君達から影響されて自分の意志、自分の未来を育てています。だから怖がらず、恐れずにたくさんの人と自分の意志を育てて下さい。世の中が暗くなんだか寒く感じる時も育てて下さい。それはきっと愛というものです。

 臆病な俺が強く生きてこれたのも君達のおかげです。ありがとう。